Under The Darkness

 でも。

 と思って、再び背後の異様な集団を横目でちらと窺ってみる。


 ――目立ってる。ありえないほどに目立ちまくっている。


 平日でも賑わいを見せる新大阪の駅は、人が避けて通るせいか彼らの周りだけ閑散としていた。
 だがしかし、軒を連ねる売店の中から、コソコソとこちらを窺い見る人達のなんと多いこと。


 いかにもヤクザなゴツい男達。彼らに囲まれた、グレーのスーツに身を包む京介君。

 長身過ぎる上にかなり大人びた風貌、洗練された雰囲気。そんな京介君は、絶対現役高校生になんて見えやしない。

 銀フレームの眼鏡が知的なアクセントになって、けれど、ただ単に真面目な優等生キャラって風でもない。

 他を圧倒するほどの威圧感と冷ややかな容貌の京介君は、私の身近にはいないタイプの男だった。

 初対面の人は、京介君の発する無言の圧力と鋭利な雰囲気だけで絶対ビビって話すことすら出来なくなると思う。

 でも、恋する女の子にはそんなの関係ないか。

 と、今度は可愛い声のする方へと視線を向けてみた。

 キャアキャア言いながらピンクの秋波を送る若い女性達が、京介君を遠巻きに見ているんだけど、京介君、全くそっちを見ない。空気みたいに無視してる。

 声、絶対聞こえてるはずなのに。

 完璧なほど綺麗さっぱり、歓声を上げる女性達をシャットアウトしてる。


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