Under The Darkness
『美里、知ってる? 首のこの辺をね、指でグッて押さえるん』
おかっぱ頭の日本人形みたいな栞ちゃんは、可愛らしい童顔を悪戯っぽく歪めながら、私の首に指先を持っていくと、指で『ここ』とつんつん突いた。
私は栞ちゃんが何を言いたいのか分からず、首を傾げる。
隣で悠宇も同じように『なんじゃそれ?』と、首を捻っていた。
『そしたらな、気ィ失ってしまうんよ。頸動脈言うてな、大きな血管が通ってるん。そこ押さえて血の流れ止めるねん』
ぎゃーっと私は栞ちゃんの指を振り払った。
『コワッ! そんなんされたら、私、死んでまうやんか!』
おっとりとした口調でビックリするような恐ろしいことを口にする栞ちゃんに、私はゾゾゾッと仰け反ってしまう。
『死なんように時間見とかんとアカンよ。ずっと押さえてたらホンマに死んでまうからね』
あっけらかんとした顔で殺人指南をはじめる栞ちゃんが怖い。
私はさらに一歩後退した。