Under The Darkness
私は横になったまま、障子の隙間から覗く庭園を眺めていた。
ちらちらと雪が舞っている。
椿の葉に雪が薄く積もり、土の上も白いヴェールに覆われているようだった。
この馬淵の家に連れてこられて、1週間が過ぎようとしていた。
自宅のアパートに携帯など全て置いてあるので、外部と連絡が一切取れない。
私は連絡を取りたい男がいた。
それは、バイトを紹介してくれた幼馴染みで私の親友、坂田悠宇《さかた ゆう》。
彼が紹介してくれた仕事があったから、これからの生活にも不安を感じなくて済んだ。
それに、私がこの世で最も尊敬するカメラマン・金城敏さん《きんじょうさとし》にも引き合わせてくれた恩人でもある。
私がいなくなって、連絡が取れなくなって、きっと悠宇《ゆう》は心配してる。
それに、せっかく紹介してくれた仕事を、仕方がなかったとはいえ無責任にも無断で休んでしまったこと、きちんと謝りたかった。
何故そうなったのか、詳しく話す覚悟は、今はまだないのだけれど。
「……めっちゃ心配してるやろな……」
私はそっと溜め息を吐いた。