この恋、国家機密なんですか!?
そう言って立ち上がったお母さんは、あたたかいお茶をいれなおして戻ってきた。
今年50になるお母さんは、まるでそう見えない。
短い髪はきちんと根元まで染められているし、両耳には品のいいピアス。
お腹もたるんでいないし、胸もちゃんと寄せて上げられてる。
私の大きな胸はお母さんゆずりだけど、私のそれは使い道がなくなって、心なしかしぼんでしまったみたい。
そんな気がするだけなんだろうけど……。
「お母さんはいいよね……お父さんと出会えたんだもん」
なによりお母さんの表情は明るくて、はつらつとしてて、今の私とは正反対だ。
「じゃああんたも、年下の男の人探せば?」
「あのねえ……アラサー女子に手出してくる若い男なんて、いるわけないじゃん……」
20代前半の遊びたい盛りの子が、いかにも結婚に焦ってそうな29歳を相手にするか?
面倒臭いからって、敬遠される想像しかできない。
「はあ……そんな暗い女、私が男だったら、年上だろうが年下だろうが、お断りだわ」
「ぐっ……」
さすが身内。遠慮なくひどいことを言う……。