この恋、国家機密なんですか!?
「でも私、宗……元カレと結婚したかったのであって、結婚自体がどうしてもしたかったわけじゃ……」
自分で言いかけて、はたと止まってしまった。
結婚自体が、どうしてもしたかったわけじゃない?
それって、私の……。
それが、私の、本当の気持ち?
宗一郎さんとの未来を夢見ていたことは確かだけど、『結婚』だけが目的じゃなかった?
「……自分を幸せにしてくれるなら、誰でもいい。そういうわけじゃないみたいね」
お母さんはなぜか、苦笑していた。
昔、私が高校で部活の仲間に嫌なことを言われても、ひとつも言い返せなかった。
そう報告したときの顔を思い出した。
「バカねえ……そう言えば良かったのよ」
「……」
「結婚なんかしてくれなくてもいいから、その彼と一緒にいたいって、言うべきだったのよ」
優しげな声に、じわりと涙がにじむ。
それは、普通の信頼関係が気づけていれば、そう言えたかもしれない。
だけど、住所もアドレスも教えてもらえない私は、確実な約束だけがほしくて。
結果……置いていかれてしまった。