この恋、国家機密なんですか!?
お母さんは口調とは違って、優しく私の肩をぽんぽんと叩いた。
「もう一回……ううん、気の済むまでアタックしてみたら?」
アタックって。それ古い。
「それで、言いたいこと全部言いなさいよ」
「いや……でもラインは退会しちゃったみたいだし、電話番号もアドレスも住所もわからないから……」
なにより、本当にお仕事で海外に行ってしまったのだとしたら……。
もう日本にいなかったりして。
「それだって、共通の知人とか勤務先に聞くとか、探偵雇うとか、色々方法はあるでしょう」
……共通の知人といっても高浜さんくらいで、あの人の連絡先は聞いてないし。
警察庁に行ったって、取り次いでもらえるとは思えない。
「探偵か……」
「お金がなかったら、少しは貸してあげるから。その気になったら、また連絡してよ」
くれるんじゃなくて、貸し付けるんだ……。
身内も甘やかさない意識は見事だ。
その強い意志が、若々しいボディを保っているのね……。
玄関先で私を見送るお母さんの横で、お父さんがそっと彼女と手をつなぐのが、最後に見えた。