この恋、国家機密なんですか!?


「……しんどい……」


生きていくのって、しんどいなあ。

自宅が近くなってきて、私はスマホを手に取った。

日が暮れて間もない今なら、誰かつかまるかも。

マキさんは……お子さんがいて大変だろうから、今回はやめておこう。お正月だし。

えっと……里枝に、涼子……。

二人に、うちで飲もうと誘いのメールを送ってみる。

ついでに、宗一郎さんと別れたことを端的に書いた。

しかし、二人とも5分後には……。

『今、彼といるから』と、同じような返信。

くっそ……リア充、爆発しろ!


私は仕方なく、近くのコンビニでお酒とおつまみとレディコミを買って、帰宅しようとした。


「うらみーますー……うらみーますー……」


ひんやりと冷えた空気。

雪が降ってきそうなほど寒くて、指や耳が痛くなってくる。

マフラーをしっかり巻いて、その中でぼそぼそと口ずさみながら、私はふらふらと自宅に向かって歩いていた。

歩道橋の上から、下を流れる車のヘッドライトが見える。

その光をぼんやり見ていると……。


「え……っ?」


あるはずのない光景に、驚いた。



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