この恋、国家機密なんですか!?


なんで私がこんな目にあわなきゃいけないの?


「本当に知らないんです……」


私は、篠田宗一郎という男のことを、あまり知らない。

なのになんで、こんな怖い目にあわされなきゃいけないの。

お腹の底から、ふつふつと何かがわきあがってきた。


「もしかして、この前のストーカーはあなたの仲間?」


男のメガネの中の瞳が、揺らぐ。

そうなんだ。

そう確信すると、ますます腹が立ってきた。


「あなたたちには気の毒だけど、私は本当に何も知らないんです。他の女の人には教えるメールのアドレスさえ、私には教えてくれなかった!」


高浜さんの奥さんから来たメールは、LINEじゃなくて、Eメールだった。

なんで他人の奥さんには教えて、彼女だったはずの私には教えてくれなかったの?


「お仕事で海外に行くって言ってました。だから、私は彼とお別れしました。今の居場所はしりません」

「電話して聞け」

「だから、電話番号知らないの!教えてもらえなかったんだってば!」


半分キレて怒鳴ると、男は慌てて「しっ」と私の口をおさえた。


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