この恋、国家機密なんですか!?
大西さんが叫ぶと、いつの間にか男をうつぶせに押さえつけ、手錠をかけた高浜さんが顔を上げる。
彼らSPの任務は、犯人の逮捕じゃない。
だけど高浜さんは、その場から動こうとしなかった。
「このまま放置はできない。大西、先に唯さんを安全なところへ!」
高浜さんはその長い腕で男を押さえつけたまま、片手で彼が落としたスマホを拾った。
「勘弁してくれよ!俺は何もしらな……」
男が半泣きのような声で、許しを請う。
その瞬間だった。
──バシュッ!
まるで布団を思い切り殴ったような鈍い音がして、高浜さんの手から、スマホが飛んだ。
「な……っ!?」
大西さんが驚きながらも、私を壁際に寄せ、守るように前に立ってくれる。
「スナイパーだ!」
高浜さんが手首を押さえて、あたりをぐるりと見回す。
それが大西さんの脇から、少しだけ見えたと思った、刹那。
──バシュッ!
また、同じ音がした。
だけど今度は、それだけじゃなくて……。
びちゃりと、水をバケツでぶちまけたような、そんな音まで聞こえた。
大西さんの背中がびくりと震えたのがわかる。
何があったの?
思わず彼の背中から顔を出そうとした瞬間、大西さんが振り向き、私の頭を強く抱き寄せた。