この恋、国家機密なんですか!?


だけど、今は何もしてやれない。

俺と離れていることが、唯にとって一番いいはずだから。

全てが解決したら、償いを……。

しかし、唯の貴重な時間の代償には、何がふさわしいのだろう?

少し考えて、吸いかけの煙草を灰皿でもみ消した。

ひとりきりの生活感がない寒々しい部屋に、白い煙が上る。


「バカだな、俺は……」


償いなど、意味はない。

金も、物も、きっと彼女の孤独を満たすことはできない。

俺が、唯にしてやれることは……。

彼女を、手放すこと。

篠田宗一郎と、無関係になることだけだったのだから。


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