この恋、国家機密なんですか!?
高浜さんたち5人と、その他の人たちは相変わらず交流する様子はないけど、それぞれに酔っ払って楽しそうだった。
当初予定になかったカラオケを要望され、旅館の方に急遽用意してもらい、少し息をついたときだった。
「添乗員のお姉さん♪」
例の5人の中のふわふわ茶髪の子犬系若者が、突然背中から抱きついてきた。
「……はい、なんでしょう?」
こらえろ、これは仕事だ。
ジジイじゃないだけましだと思おう。
私は落ち着いた声を出すよう、心がける。
「一緒に飲も?退屈でしょ?」
酔っ払いをひとりで見守るのが仕事だってば。
笑顔であしらおうとすると。
「てめぇコラ!
俺の筋肉の話を聞けっつうんだよ!」
いきなり出てきた高浜さんが、わけのわからないことを言いながら、若者の頭を殴った。
酔っ払って俺様キャラになってしまったような高浜さんのこぶしは、容赦ない。
うわぁ、痛そう……。
そのまま引きずられていった彼は、仲間に囲まれ、もうこちらには来ないようだった。
助かった。
イケメンでも何でも、酔っ払いにからまれるのはイヤだもんね。
私は中居さんを呼び、空のビール瓶を運んでもらえるように頼むと、追加でお酒を注文する。
すると、ずいとある人が私の前に現れた。
とてもいかつい顔の、男の人だった。