この恋、国家機密なんですか!?


「なので……そこには、いけません。きっと、みじめな思いをするから……」


鼻の奥がつんと痛んだ。

宗一郎さんと同じ部署の警察官。その奥様方や、子供たち。

自分でもどうかしていると思うけど、今はその人たちに、会いたくない。

醜い、どうしようもない嫉妬だけど……。

その一員になり損ねた自分を、わざわざ確認したくなんかない。


「それにお正月休んじゃったんで、明日からずっと仕事なんです。行かなきゃ、クビになっちゃう」


そう言うと、高浜さんたちは眉間にシワをよせた。


「仕事はまた探せばいいじゃない。命が第一だよ?死んじゃったら、もう二度と仕事できないよ」


大西さんが優しく言う。

そんなのわかってる。

わかってるけど。


「唯さん……俺は篠田にあなたのことを頼まれました。あいつのためにも、あなたは安全な場所にいるべきです」


宗一郎さんのため?

意味がわからなくて、高浜さんの顔を見上げる。


「きっと……篠田は、あなたをこの事件に巻き込んでしまう予感があったから、距離を置いたのだと思います。決して、あなたがいらなくなったからではない」


そう言えば、宗一郎さんも、言ってた。

『俺だって、お前と離れたいわけじゃない』って……。



< 123 / 214 >

この作品をシェア

pagetop