この恋、国家機密なんですか!?


突然別れると言いだしたのは、全部私のため?

恋人のままだと、私に危険がおよぶから。

ああ、無邪気にそう信じられたらどんなにいいだろう。

宗一郎さんが本当にそう思っていてくれたとしたら、どんなに嬉しいだろう。

でも……。


「それなら、宗一郎さんがそばにいてくれれば、良かったのに……」


どうして自分で、私を守ってくれないの?


「それは……篠田には篠田の仕事があるからだと思います。俺たちは人を警護するのが仕事ですが、篠田は違って……」


高浜さんはそこまで言って、口をつぐんだ。


「とにかく篠田も、あなたや他の国民を守るために、奮闘しているんです。疑わないでやってください……」


そうして、困り果てた顔でうなだれた。

疑わないでやってって、そう言うのは簡単だろうけど。

私だって、信じたいけど。


「でも宗一郎さん、高浜さんの奥さんにはアドレス教えてるのに、私には教えてくれないんだもん!」


心の底に溜まっているのは、彼に信用されていなかったという不満。そして、嫉妬。

高浜さんは私のセリフを聞き、ぱちくりと目を見開き、『あ、はは……』と、笑いだした。

笑い事じゃないし!



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