この恋、国家機密なんですか!?


でも聞こえてくるのは、大きなため息ばかり。

ムリだよ、宗一郎さん。

あんなスッキリしない終わり方じゃ、私はあなたを忘れられないよ。


「わかりました……じゃあ、避難します」

『そうしてくれ』

「その代わり……」


スマホをにぎる指に、力を込める。


「事件が解決したら、会いにきてください。仕事もお金もいりません。それは自分でなんとかします。だけど、宗一郎さんの代わりはいないんです。どこにも、いないんです。私はまだ、宗一郎さんが大好きなんです!」


しつこいのは承知で、私は一気に言い切った。


『……はぁ……』


だけど聞こえてきたのは、やっぱりため息で。


『わかった、解決したらもう一度話をしよう。でも俺は唯をこんな事件に巻き込むのは二度とごめんだし、結婚しないという主義は変わらない。……つまり復縁する気はないが、それでもいいのか』


いいわけない。

でも、少しでもあなたの中に、私が残っているのなら。

髪の毛一本くらいの希望でも、すがりつきたい。

お母さんの言葉を借りれば、アタックし続けるんだ。

あなたの気が、変わるまで。


< 128 / 214 >

この作品をシェア

pagetop