この恋、国家機密なんですか!?
9.避難所と私
そんなこんなで、警視庁で一夜を明かした私は……。
なぜか休職中なのに、バスに乗っていた。
しかも、名簿を持って。
「はい、佐藤さん3名ですね。次は……」
そう……私は高浜さんたちのお手伝いをしている。
避難する警察官の家族の家を、バスで回り、彼らを回収していった。
SPたちは高浜さんたちだけでなくたくさんいる。
荷物を載せるのを手伝ったり、周囲の警備をしたりして、なかなか忙しそう。
「はい……これでこのバスは全員ご乗車いただきましたので、ただいまから避難所になっているホテルへ向かいます」
避難所は、ホテルの宴会場になったらしい。
警察官の奥様方は、若い人から、白髪のご婦人まで様々。
家族には高校生や中学生、小さな赤ん坊もいた。
中には個人的にボディガードや警備員を雇うセレブもいるみたいで、結局集まったのは、70人くらいだった。
そりゃあそうだよね……お金があって、セキュリティーがしっかりしてるところに住んでいる人は、家から出なきゃ良いんだもんね。
わざわざ避難所でストレスを溜めたい人はいないだろう。
避難する人たちは、警察官の旦那さんが任務でしばらく帰ってこられないとか、遠くにいるとか、それぞれの理由があるみたいだった。