この恋、国家機密なんですか!?


「うう……そういうことならしょうがないですね。何時にどこへ行けばいいんですか?」


同じ女として、妊娠中の女性に無理をさせるわけにはいかない。

突然休んでみんなに迷惑をかけているのは、私も一緒だ。

健康なぶん、私が出なきゃ!


『11時に青空ツリーに着くんだって。そこまでは根性で行くって、本人も言ってるみたい』


青空ツリーと言うのは、去年できたばかりの、新しい電波塔だ。

展望デッキや買い物を楽しめるショップやカフェが中にある。

その周辺には観光施設や商業施設も併設されていて、その中に水族館やレストランなんかもあって、イベントも定期的に催されている。


「それならここからそう遠くはないかな……」

『じゃあ、お願いできる?』

「……」


宗一郎さんの声が、脳内で響く。

『決してひとりで出歩いてはいけない』と。

でも……困っている人、それも友達と妊婦さんを見捨てたりできないし。

そもそも私には今、狙われる理由がない。

集団避難した今、敵だってそんなに派手には動けないだろうし……。


宗一郎さん、ごめんなさい。

唯、行きます!


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