この恋、国家機密なんですか!?
「主人たちがいない今、私たちでGを撃退するしかありません!みなさま、ご協力よろしくお願いします!」
ご婦人の言葉に、みんながうなずいた。
誰だって、ゴキブリにお弁当をつつかれたり、荷物に入られたりしたくない。
多分本当に見つけたら、自分ではなくてSPに退治してもらうんだろうけど……。
奥様方がいっせいに荷物を開けたり、床をごそごそしだしたから、警官のみなさんも驚いたみたい。
「どうしました?」
「Gなのよ……。Gなのよー!」
「G?とにかくみなさん、落ち着いてください!」
混乱しはじめた宴会場から、私はこっそりと抜け出すことに成功した。
急いでトイレに入り、スーツに着替え、化粧をして髪をまとめる。
そうすれば、さっきまでの私とはほぼ別人だ。
私は何食わぬ顔でフロントまで行き、受付の人にだけこっそりと、「警察です。ちょっと外出してきます」と嘘をついて外へ出た。
彼らはプロだ。
未精算の客と思われて事務室に連れていかれる可能性は大いにあったので、私はそうして切り抜けた。
ここに警察がいるということは、スタッフと当事者しかしらないはず。
だから警察だと言えば、外出をとがめられることもなかった。