この恋、国家機密なんですか!?
もう知らん。
避難なんかしてやるもんか。
仕事が終ったら家に帰ってやる。
「私もみなさんとタワー丼いただこうかな……」
やけ食いもしてやる。
太ってやる。今より大きくなって、踏んづけてやる!
何よ、大きな女が好きとか言っておきながら、あんな華奢な子と……。
嫌がらせなのね。そーなのね!
ふつふつとお腹の中に湧いてくるのは、悲しみよりも怒りだった。
「はい、お店の方に連絡できましたので、今から向かいましょう。こちらのレストラン街でお食事される方は……」
案内の途中で、スマホが鳴った。
もしかしてお店からだといけないと思い、その画面を見ると。
『何してる。避難しろ』
と、すごく短いメールが、見ず知らずのアドレスから送られていた。
これって……。
すでに遠くにいる宗一郎さんの方を見るけど、こちらと目を合わそうともしない。
……こんな命令口調メール、彼しかありえない。
けどなんで?
やましいことがないなら、直接言ってくればいいじゃない。
今まで教えてくれなかったアドレスを使って、命令だけはいっちょまえにするんだから。
ムカつく!
私はそのメールを怒りに任せて、削除した。