この恋、国家機密なんですか!?
すぐに次のエレベーターが到着して、私はお客様とそれに乗り込もうとドアの前に並ぶ。
──ぽーん。
音と共に開いた扉。
それとともに展望デッキに流れこんでくる、観光客たち。
その人たちは、男性ばかり10人ほどのグループだった。
ほとんどの人がメガネやサングラスをしていて、なんとなく違和感を覚える。
全員が大きなカバンやリュックを、預けることなく持っているし。
なんか、うさんくさい団体だな……。
彼らが通り過ぎるのを待って、エレベーターに乗り込もうとする。
しかし、中にいたエレベーターガールは、なぜか青い顔。
必死でボタンを押しているようだった。
待って、お客様が待ってるのになんで閉めるの?
「ちょ、乗せてくださいよ……」
と、声をかけようとしたそのとき。
後頭部に、ごり、と何かが押し付けられた。
え、なに……?
「後ろに下がれ!」
乱暴に腕をひかれ、後ろに倒れた私はしりもちをつく。
何が起こったのかわからなくて、まばたきしながら頭上を見上げると……。
見えたのは、黒くて冷たい鉄の塊。
「きゃ……っ!」
突然の恐怖に、まともな悲鳴も出なかった。
私につきつけられていたのは……間違いなく、ピストルだったから。