この恋、国家機密なんですか!?
11.人質と私
「わぁ」
「ひ、ひぃぃ……」
私に起こったことを見て、近くにいたおじいちゃんやおばあちゃんが声を上げる。
目だけを動かして周りを見ると、さっきのうさんくさい団体客が、一斉に上着を脱いだ。
すると、彼ら全員におそろいのピンクのYシャツと、防弾チョッキがあらわになる。
な、なにこれ!
彼らはそれぞれのバッグからピストルやライフルみたいなものを取り出し、構える。
その様子に気づいた他の観光客も、悲鳴を上げた。
だけど彼らはエレベーターの前を占拠してしまっているから、誰も逃げられない。
「立て。後ろに下がれ」
私は自分が言われているのだと理解すると同時に、はじけたように立ち上がり、後ろに下がる。
突然の武装集団の出現に、観光客たちは自然、エレベーターからじりじりと後退することになった。
「不審な動きをするものは、容赦なく射殺する。手を上げて、我々の言う通りにしろ」
ええっ!不審な動きをしているのは、あなたたちじゃないですか~!
私を含め、観光客たちは何が起こっているのか把握する間もなく、次々にロープで縛られていった。
ちょっと、こんなに簡単に武器やロープを持ち運べる日本って、どうなってるの!?