この恋、国家機密なんですか!?


いったい、どうしたんだろう。

もしかして、タイミングよくトイレとか?

ああ、お願い……あなたが彼の本命でもなんでもいいから、警察を呼んで……!

警察官はそこに一人いるけど、この状況じゃどうすることもできないだろうから。

そして全員が縛りつけられると、テロリストの一人が前に出た。

悪役らしく、サングラスをしている。

髪は黒くてボサボサで、生え際に白いものが混じっているのが見えた。

どうやら、彼がテロリストの代表者みたい。


「お前たちには、人質になってもらう。今から我々は警察と交渉を行うが、邪魔をしたら容赦なく撃つから、そのつもりで」


そう言われれば、私たちは黙っているしかできない。

テロリストは、折り畳みケータイを取り出し、電話をしはじめた。


「警察か?もうエレベーターガールから通報されていると思うが、我々は青空ツリー展望デッキを占拠した。人質は約60名。彼らの命が惜しければ、我々の要求に従え。我々は、ハピネス幸福教の騎士である」


な……っ。

この人たち、もしかしなくても……。

あのご婦人が言っていた、5年前に事件を起こしたカルト教団だ……!



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