この恋、国家機密なんですか!?


なんとなく、あのピンクのシャツの集団には見覚えがあると思った。

当時、嫌になるくらいテレビであの服を着ている人たちを見たからだ。


「我々が要求するのは……」


ごくりと唾を飲み込む。

いったい彼らは、なにをしようとしているの……?


「我らが騎士たちの解放と、警察からの謝罪である」


……へ?

普通、人質って言えばお金とかヘリとか車じゃないの?


「すでに逮捕されている元幹部は、ほとんど死刑になると言われているからな」

「わぁ!」


突然近くで聞きなれた声がして、私は思わずのけぞった。

少しハスキーなこの声は……宗一郎さん!

宗一郎さんはどうやって来たのか、いつの間にか私のすぐ近くにいた。

さすが警察官……!


「おいお前、静かにしろ!」

「わぁぁぁ、すみませんっ、すみませんっ!」


私は縛られながら、額が床にこすれるくらい頭を下げた。

もう……宗一郎さんのせいで、また命の危機にさらされたわ!勘弁してほしいよ全く!

ちらと見ると、宗一郎さんは目も合わせず、まったく無関係を装っているみたい。

静かになると、テロリストは電話を続ける。


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