この恋、国家機密なんですか!?
「多くの聖なる騎士たちを殺した警察を代表し、当時の警視総監と内閣総理大臣を、この場によこせ。彼らに罪を償わせなければ、人質の命はない。今から3時間以内だ。早く彼らをここへよこせ。二人きりでだ」
な、なんですと……!
そういえば、ご婦人が5年前の事件のとき、警察と教団、双方に多くの死傷者が出たって言ってたっけ。
聖なる騎士ってのは、たぶん当時亡くなったテロリストたちの仲間のことだ。
その弔い合戦を、今更やろうっていうの……?
「無意味だな」
ぼそりと、誰にも聞こえないように宗一郎さんがつぶやいた。
私もこっそりと、彼に質問をする。
「もしかして、私や警察官の奥さんを狙ったのも……」
「あいつらの仲間だ。当時の作戦に関わった警察官の資料をどこからか入手し、その家族に報復をしようとしたんだろう」
「そんな」
報復だなんて……。
もとはと言えば、人質とったり、悪いことしてた教団の方が悪いんじゃない。
それに、犠牲を負ったのは、警察も同じなのに……。
「当時の警視総監は、テロリストとはいえ犠牲者を多く出したことで、相当叩かれた。社会的制裁は済んでいる」
そう言った宗一郎さんの目は、ぎらりとテロリストたちをにらみつけていた。