この恋、国家機密なんですか!?


その目線は、今まで見たこともないくらい冷たくて鋭くて。

私の背中を、何かがぞくりと駆け抜けていった。


「……あ、れ、ちょっと待って。私が狙われたってことは、宗一郎さんも当時の作戦に関わったってこと……?」


その横顔を見つめると、ぴくりと宗一郎さんの眉が動く。

しかし、彼の唇がわずかに動いた瞬間、「お前、さっきからぼそぼそぼそぼそうるさいぞ!」と、またテロリストに怒られてしまった。

しかも、頭にライフルをつきつけられて。


「ごごごごごめんなさいぃぃぃぃ~~~」


何とか許してもらうと、要求を伝え終えたテロリスト代表は、電話を切った。

もうやだ。もうしゃべらない。絶対しゃべらない。

私は心にそう固く誓い、警察が助けてくれるのを待った。


……1時間。

……2時間。


テロリストたちはたまにこそこそと動き回っているけど、大きな動きはない。

ちょっと……どうなってるの?

人質はトイレにも行かせてもらえず、食事ももちろん与えてもらえず、何より心的疲労で、みんなぐったりしていた。

警察は何してるのよ!

筋違いだとは思うけど、宗一郎さんをきっとにらむ。


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