この恋、国家機密なんですか!?
「……ムダだな。警視総監と首相が来るわけがない」
宗一郎さんがぼそりと言う。
な、なんだってぇぇ~!?
そりゃあ危ないだろうけど。もしかしたら、殺される可能性だってあるけど……。
二人が来てくれなかったら、私たちは見殺しにされちゃうじゃん!
泣きそうになったとき、テロリスト代表の電話が鳴った。
「……ダメだ。二人をここへよこさなければ、人質を一人ずつ傷つけるぞ」
え、ええええっ?
「交換条件を出して、断られたな」
って、宗一郎さん!そんなあっさり言われても困るから~!
私の後ろに隠れているおじいちゃんやおばあちゃんが、恐怖でかたかた震えている。
かと思えば、とうとう念仏を唱え始める人まで現れた。
「ご老人だけでも、なんとか解放してもらえないでしょうか」
しゃべらないという誓いを破って、私は宗一郎さんに聞いてみる。
「無理だろうな……あいつら、警察の家族を集団避難させられて、焦ってヤケになったんだろう。人質は一人でも多い方がいいと思っているはずだ」
何それ~、困るよ。
おじいちゃんたち、このままじゃただでさえ残り少ない寿命が縮んじゃう。