この恋、国家機密なんですか!?
おばあちゃんはとうとう、くたりと倒れこんでしまった。
このままじゃ……っ!
「あのっ、すみません!」
私はたまらず、大声をはりあげた。
宗一郎さんはぎょっとした顔をする。
「なんだ?」
テロリストの下っ端みたいな人が、私にライフルを向ける。
怖くて卒倒しそうだけど、私はなんとか声をしぼり出す。
「このおばあちゃん、病気なんです。発作を起こしてます。この人だけでも解放して、外へ出してあげてください!」
「はあ……?なんだ、お前はこのババアの孫か?」
「私は添乗員です!お客様の安全を守る義務があります!」
正直にそう伝えると、テロリストたちはぷっと吹き出した。
「添乗員が、何をえらそうに……そんなことを言って、一緒に外に逃げるつもりだろう」
「いえ、ご主人が一緒に行ければ、それで良いんです。お願いします、このままだと、命が危ないんです」
懇願するが、テロリストたちは薄く笑ったまま。
そして、信じられない言葉を吐いた。
「そんなババア、遅かれ早かれ、どうせもうすぐ死ぬだろ」
な……なんですってぇぇぇ!?