この恋、国家機密なんですか!?
慰安旅行が無事に終わって、私は早速彼に連絡をした。
彼は仕事で各地を飛び回っていると言う。
最初の出会いから1か月後、私たちはやっと再会を果たした。
いつからか彼は、私を「唯(ゆい)」と、名前で呼ぶようになって、いつからか、私の部屋に来るようになって、いつからか、セックスの時に私を縛るようになった。
初めて手首をネクタイで縛られた時はビックリしたけど、やっぱり嫌じゃなかった。
2回目に縛られたときは、もうそれが自然に思えた。
「ほらな、気があうと思うって言っただろ?」
宗一郎さんは細い目をますます細くして、薄く笑う。
そうなんだ。
私は、縛られることによって、今まで知らなかった世界を知ってしまった。
縛られることによって、より興奮と快感と安心感を得られることを、知ってしまったんだ。
それまでは、至極ノーマルだと思っていた自分の性癖を覆された。
「どうしてわかったの?私だって、こんな自分、知らなかったのに」
聞くと、宗一郎さんはまた笑みをこぼした。
私の長い黒髪をすくいあげ、ひとつキスをして。
「……職業柄、他人の裏側を見抜くのが得意でね」
そんなかすれた声に、またキュンとした。
歪んでいる自分に気づくたび、同じように歪んでいる宗一郎さんに、溺れていった。
そして、もうもがいてももがいても浮上できないところに来てしまっている。
そんな私はもう、29歳────。