この恋、国家機密なんですか!?
なんて……なんて勝手なことを。
詩織さんを取引の道具にしようとして、うまくいかなかったから殺しただなんて。
ひどい……!
気づいたら、涙がぽたぽたと胸の傷に落ちていて、少ししみた。
ああ……だから宗一郎さんは、私を遠ざけたんだ。
ストーカーにあって、それが組織的犯罪だと疑われるものだった。
だから、詩織さんと私が同じ目に逢うんじゃないかと、宗一郎さんは思って……。
彼は、そんな大きな傷を負いながら、そんなことまったく態度に出さなかった。
おそらく彼にとって、絶対に忘れられない人の面影を私に重ねてしまうのは、どんなにつらかっただろう。
「そう、いちろう、さ……」
ごめんなさい。
疑って、ごめんなさい。
あなたが私に秘密にしていたこと。
それは全部、私を、守るために秘密にしていたことだったのに。
バカみたいだ。
一人で焦って、孤独に陥って、空回りして。
宗一郎さんは、詩織さんほどではなかったとしても、きっと、私を本気で、愛してくれていたのに。