この恋、国家機密なんですか!?
「バカ……っ、なんで残ってるんだ!」
いつの間にかピストルを構えていた宗一郎さんが、こちらに叫ぶ。
「人質が……っ。くそっ、お前ら全員殺してやる!」
うっかり人質を逃がしてしまったテロリストたちが、憤怒の表情で武器を向けてくる。
高浜さんは私の手をとり、展望デッキ中央の大きな柱の後ろに隠れた。
そしていきなり上着を脱ぐと、その下の防弾チョッキ……だと思う。それも手早く脱ぎ、私に着せた。
「いいですか、唯さん。決してここから出ないでください。もしあなたに何かがあったら、篠田は泣いてしまいます。そんな気持ちの悪いもの、俺は見たくありませんからね」
ジョークだかなんだかわからないセリフを残し、ひとつ笑った高浜さんは、ただのワイシャツにネクタイという姿で、敵の前に出て行ってしまう。
するとすぐ、鋭い銃声が響いた。
怖くて身をすくめるけど、なんとか顔だけ出すと、宗一郎さんも高浜さんも無事だった。
彼らは背中をくっつけあって、敵に銃口を向けている。
また撃たれる。
弾は宗一郎さんのすぐ右側を通過していく。
宗一郎さんが、敵に体当たりしようと駆ける。