この恋、国家機密なんですか!?
見ているだけの私でさえ、息をつくひまもない大乱闘が繰り広げられる。
武器を持てる状態の敵の数はだんだんと減ってきたけれど、高浜さんの腕や、宗一郎さんの脇に、弾丸がかすってできた傷ができていた。
誰のものかわからない血が床を汚し、そのにおいにむせ返りそうになる。
宗一郎さんはもう何度こうして、死線をくぐりぬけてきたのだろう。
詩織さんを亡くしてから、どんな気持ちで警察官として生きてきたんだろう……。
宗一郎さんの見たこともない横顔を見ていると。
「……っ!」
突然後ろから、とんでもない殺意を感じた。
振り向くと、敵の下っ端が両手をのばし、私をとらえようとしていた。
「きゃぁぁ……っ」
ビックリして悲鳴を上げてしまうと、宗一郎さんと高浜さんがこちらに気づいた。
逃げなきゃ。走らなきゃ。
そう思うのに、足が動かない。
二人が駆け寄ってくる足音に気づき、敵は舌打ちをして銃をかまえなおす。
銃口はまっすぐに私をとらえ、引き金が引かれる。
もうダメだと思った刹那、私の前に誰かが飛び出した。
「唯っ!!」