この恋、国家機密なんですか!?
後方に突き飛ばされる。
視界の端に、赤い虫が羽を広げて飛んだのが見えたような気がした。
転ぶ前に高浜さんに支えられる。
目の前では、宗一郎さんが、私の代わりに右肩から血を流していた。
かたりと、彼の手からピストルが落ちる。
「篠田!」
高浜さんのバリトンボイスが響く。
彼は片手で発砲し、宗一郎さんを撃った敵の銃を落とした。
「や……っ、宗一郎さん……!」
「……っ……そんな死人を見るような目をするな……っ」
大丈夫だ、と言いたいんだろう。
駆け寄ると、宗一郎さんはふらりと私に寄り添う。
それでも、口の片端を上げて笑っていた。
「こんなことで死にはしない。あきらめたりも、しない」
宗一郎さんはピストルを左手で拾い上げると、私の頭を抱き寄せる。
そのまま、その銃弾を敵の武器へと叩き込んだ。
「お前にまで死なれたら、俺の人生真っ暗じゃないか。それに……」
素手で向かってきた敵を、長い足で蹴り飛ばす。
「俺はものすごく怒っているんだ。あいつら、お前を縛りつけやがって……」
そうそう、縛りつけやがって!
って……何か違う気が。