この恋、国家機密なんですか!?
2.ストーカー?と私
「唯ちゃん……こんなことは言いたくないけど、もうそんな変態とは別れた方がいいんじゃない?」
久しぶりの女子会。
同じ派遣会社で知り合った、同期の添乗員・涼子は呆れた顔でグラスを傾ける。
よくある居酒屋の個室で、他のメンバーが笑った。
「変態だなんてひどいなぁ。その韓国のり、宗一郎さんの出張のお土産なんだから」
「げ……でも、のりは大好きだからありがたくいただく。て言うか、私は唯ちゃんのためを思って言ってんだよ?」
2つ年下の涼子は、彼氏がいて結婚秒読み。つまり婚約中。
「まあ、唯が結婚とか考えてないなら別にいいんじゃない?」
涼子の肩を軽く叩いたのは、独身主義の里枝。
同い年だけど旅行会社の社員で、外国人の彼氏と同棲中。
「今のままが、自由だし、一番楽しいじゃない。子供ができたりすると、この人みたいに愚痴ばっかりになるよ~?」
里枝はからかうように、私の横に座っているマキさんをのぞきこむ。
マキさんは添乗員の先輩で、寿退社して3年。
「そうよ……結婚なんて地獄よ。金も時間も若さも、全部子供に吸い取られていくの。怖いわよ~?」
マキさんはこの中で一番疲れた顔で、幽霊の真似をした。
似合いすぎていて、笑えません。