この恋、国家機密なんですか!?
そこは、『俺の婚約者を殺しやがって』とかじゃないの?
だけど宗一郎さんは、私の不思議そうな顔を見て、笑うのをやめた。
そして、至極真面目な顔で言い放ったのだ。
「お前を縛っていいのは、俺だけだ」
……はい?
怒るの、そこ、ですか……??
「篠田っ、彼女を口説くのは後にしてくれ!」
高浜さんが向かってきた相手を背負い投げして、まだ無傷だった敵に投げつけた。
「そうだった」
宗一郎さんは私を抱いたまま、新しい銃弾を装填する。
「見ていろよ、唯。俺はもう、誰も殺したりしない」
そう宣言し、宗一郎さんは左手一本で、引き金を引く。
その弾丸は空を切り裂き、代表の元へと飛んでいく。
ピストルを持っていた手の皮だけを引き裂き、弾丸は流れていった。
血が舞い、ピストルが薬莢だらけの床にごとりと落ちる。
手を押さえてうめく彼を、高浜さんが押さえつけた。
そうして……。
それからも少しの乱闘が続き、やっと非常階段の防火扉が開き、応援が到着したころには……。
なんと、二人の警察官は、すでにテロリストたちを制圧してしまっていたのだった。