この恋、国家機密なんですか!?
side宗一郎
……これは、夢か。
背景が何もない。
真っ白な世界にひとり、女がこちらをにらんで立っていた。
長い髪、丸い目、厚い唇……。
久しぶりだな、詩織。
『宗一郎、あなたのせいよ』
開口一番、彼女は泣きそうな顔で俺を責める。
わかってるよ。
あのとき、俺がもっと気をつけてあげていたら、詩織は死ななくて済んだかもしれない。
『私、あなたと結婚したかったわ』
俺だって、そうするつもりだったよ。
指輪だって、マンションだって、用意していたんだから。