この恋、国家機密なんですか!?
……夢の中で、昔の恋人が出てくるというのは、よくある話だ。
俺のような場合は、『私のことはもう忘れて、幸せになってね』とか言われるのが、お約束のパターンなんだろう。
だけど、詩織はそうしない。
……いいんだ。
俺は責められて当然だし、お前のことを忘れるつもりもないから。
5年前。
都庁立てこもり事件で、一番に殺された詩織の遺体を目にしたとき。
実を言うと、あまり記憶がない。
ただ俺は、現場の特殊部隊の指示も無視して、テロリストに無差別に発砲し……。
結果、3人に致命傷を与えたのだと、あとで教えられた。
自分自身も銃弾をくらって、気を失って、目が覚めた途端に突き付けられた事実。
もう警察なんかやめようと思った。
こんな自分がいてはいけないと思ったからだ。
だけど、どうしてもやめられなかった。
詩織と同じような思いをする人間を、ひとりでも減らすこと。
それが、俺に残された使命のように感じたから。
都合よく考えていると言われれば、それまでだけれど。