この恋、国家機密なんですか!?
詩織を失って、2年たったとき。
俺は、唯と出会った。
少し遊んでやるだけのつもりだったのに、俺は彼女を離せなくなっていた。
これといったきっかけはない。
どうして、と問われても、どうしても、としか答えようがない。
特別強いわけでもないし、ただ俺を癒すだけの存在でもない。
強いて言えば……。
仕事をしているときの頼もしいまなざしと、普段のぼよんとした笑顔のギャップが面白かったのかもしれない。
『ひどいひとね』
本当だ。
『あの子を悩ませて、泣かせて、傷つけた』
もう言わないでくれ。わかってる。
俺は……このまま、身を引くつもりだよ。
『無責任だわ』
……じゃあ、どうしろと?
詩織、教えてくれよ。
俺はいったいどうしたらいい?
どうしたら……お前と唯に許してもらえる?
『私にそれを聞くの?本当に卑怯な男ね』
……俺にそこまで言えるのは、お前だけだよ。
だから、面白いと思った。
結婚して、お前を妻と言う名で束縛して、一生叱ってもらうのも悪くないと、思っていた。
『でももう、かなわないの』
詩織は悲しそうな顔で、きっぱりと言った。