この恋、国家機密なんですか!?
『あなたが言ってほしい言葉を、私は言わないわ。あなたが、自分で決断するべきよ』
言ってほしい言葉?
詩織、いったいそれは……。
『私はもう行くわ。さようなら、宗一郎』
待ってくれ。
詩織の手をつかもうとしたが、そこはお約束通り、幻影のようにすり抜けてしまう。
『……元気でね』
それだけ言い残すと、詩織は消えてしまった。
最後の最後で、ほんの少しだけ微笑んでくれていた。
そんな気がした。