この恋、国家機密なんですか!?
13.決断と私
夕方の病院の待合室は、それほど混んではいなかった。
応援がきたあと、高浜さんと宗一郎さんはすぐに病院に搬送された。
高浜さんはかすり傷だけだったみたい。
宗一郎さんは、私をかばったときにつけられた肩の傷を、今縫ってもらっている。
待合室のテレビでは、さっきまでのニュースのことを大々的に報じていた。
外から撮った青空タワーの映像を見て、さっきまであそこにいたのだと思うと、まだ背筋が寒くなる。
ただ、私が最初に逃がしたおばあちゃんが、一足先に搬送されて一命をとりとめたことを聞いたときだけは、心からホッとした。
良かった……間に合ったんだ。
「唯さん」
声をかけられ、そちらを向く。
そこには、手当てが終ったらしい高浜さんが立っていた。
「どうぞ」
彼が差し出してくれたのは、あたたかい缶コーヒーだった。
お礼を言って受け取ると、彼は優しく笑う。
「大活躍でしたね」
おばあちゃんを解放してもらったことを言っているのだろう。
「今思えば、無謀でした」
「いいえ。篠田もほめてくれると思いますよ。もうすぐ手当てが終ると思いますので、俺は一足先に帰ります。邪魔はしたくありませんから」