この恋、国家機密なんですか!?
宗一郎さんが私をほめるなんてこと、あるだろうか。
無謀だ、バカだと、ののしられる想像しかできないんだけどなあ。
「……とその前に、唯さんに紹介しておきたいんですが……」
「へ?」
紹介って、誰を?
首をかしげる私の前に、高浜さんの後ろからぴょこっと女の子が出てきた。
あのとき、私の縄を切ってくれた彼女だ。
近くで見るとやっぱり小さい。
高浜さんの後ろにすっぽり隠れられるなんて……なんかうらやましい。
「……あの、大晦日にメールしたり、篠田さんと手をつないだりして、ごめんなさい……」
彼女はすまなさそうに謝る。
さっきの強かった彼女とは、別人みたい。
火事場の馬鹿力ってやつだったのかな。
「麻耶、いきなりそんなこと言ったって、唯さんは混乱してしまうよ」
「あ、あ、ごめんなさい。ええと、私は……」
「唯さん、こいつは高浜麻耶。うちの嫁です」
人と話すのが苦手そうな麻耶ちゃんに代わり、高浜さんが説明する。
って……うちの嫁!?この子、高浜さんの奥さん!?
「主人がお世話になりました」
麻耶ちゃんはぺこりと頭を下げる。
いや、警護してもらってお世話になったのは、私の方なんだけど。