この恋、国家機密なんですか!?
あの京都での悪夢がよみがえるよ。
顔に出てしまったのか、宗一郎さんは苦笑した。
「大丈夫、もう置き去りにはしない」
「お願いしますよ……取り残された方が、どれだけ気まずいか……」
「ああ、悪かった」
宗一郎さんは横たわったまま、私に手をのばす。
それをにぎると、宗一郎さんもぎゅっとにぎりかえしてくれた。
たったそれだけで、彼のことを信じられる気がするから、不思議だ。
秘密が減った私たちの間は、少しだけど確実に、変わっていた。
彼の穏やかな顔を見て、そう思った。