この恋、国家機密なんですか!?
14.指輪と私
私が宗一郎さんに再会できたのは、事件から一か月後のことだった。
退院はもう少し早かったんだけど、私の添乗の仕事と宗一郎さんの仕事の休みがなかなかあわなかったから。
「おはようございます!」
まだ冷たい外の風に、宗一郎さんのコートのすそが揺れる。
アパートの前に車で迎えに来てくれた宗一郎さんは、忙しさのせいか、髪が少し伸びていた。
「乗れ」
それだけ言われた私は、助手席に乗り込む。
ほんの少し遠出をするとだけ言われていた私は、宗一郎さんに缶コーヒーを差し出す。
ついさっきまでこたつの中で温めていたことは、内緒にして。
宗一郎さんは「ありがとう」とそれを受け取ると、それ以降はあまり話さなかった。