この恋、国家機密なんですか!?
宗一郎さんはそれ以上何も語らなかった。
私たちは再び黙とうして、その場を去った。
「さて、帰るか」
車に乗り込んだ宗一郎さんは、どこかすっきりした顔をしていた。
「はい」
なんだか、私の方が寂しくて切ないような、複雑な気分だった。
せっかく横浜に来たんだから、中華街で美味しいものを食べましょうなんて気分でもない。
「夜は夜景がキレイでしょうね」
帰り道の横浜ベイブリッジの上で、そうつぶやく。
「ああ……そうだな。またゆっくり時間がとれるといいんだが、今日は他の目的地もあって」
「えっ?」
他の目的地?
だってさっき、「帰るか」って言わなかったっけ?
首をかしげると、運転中の宗一郎さんは進行方向を向いたまま、ぽつりと言った。
「良かったら……俺の部屋に来ないか」
な、な……なんだってぇぇ~!?
私は自分の耳を疑う。
俺の部屋に来ないか。だって。
ああ……ずっと言われたかったの!
つきあいはじめて3年、やっと願いがかなった!
ありがとう、上賀茂神社の神様!
「い、行きます!」
唐獅子のように勢いよくうなずくと、宗一郎さんは少し笑った。