この恋、国家機密なんですか!?
宗一郎さんのマンションについたころには、夕日が窓から差していた。
無機質で殺風景な部屋に、オレンジ色の温かみが満ちる。
少しタバコのにおいがしたのが、嬉しかった。
私の前では吸わなかった宗一郎さんの秘密をまたひとつ、知った気がして。
「一応掃除はしたが……面白くともなんともないだろう?」
一応って?これで一応?
仕事であまり帰れないと聞いていたから、もっとホコリが積もっているのかと思っていたのに。
メインで使うテーブルや床以外も、チリひとつ見当たらない。
潔癖……とまではいかないけれど、かなりのキレイ好きみたい。
うう、私もお掃除頑張らなきゃ……。
「そんなことないです。来られて嬉しい」
「ふうん」
宗一郎さんはコートを脱ぎ、勝手にソファに座っていた私の横に腰かけた。
近すぎる距離に、どきりとする。
「唯……これから、どうする?」
これから?
「えっと……夕食のお買いものにでも行きます?あっそれとも、今日は外食とか?」
普通に答えたつもりなのに、宗一郎さんは少し目を丸くした。
かと思うと、盛大にため息をつく。
「……じゃなくて。これからの、俺たちのこと」