この恋、国家機密なんですか!?


私の返事を聞いて、彼は微笑む。

……口の片端を上げて。

あれ、この意地悪な笑い方って……。


なに、と聞く暇もなかった。

宗一郎さんは私のあごを持ち上げ、あっさりとキスをした。

そして、私を突然お姫様抱っこする。


「え、あの」

「なんだ」

「……まだ、夕方……」

「だから?」


彼は当然のように、すたすたと私をベッドルームへと担ぎ込む。

ふわりと優しくベッドの上に下ろされて、もう口をぱくぱくするしかなかった。


「ああ……浴室の方が良かったか。それとも……ソファのままが?」


ち、違う違う違う!

その切り替えの早さに、ついていけてないんだってば!


「……嫌か?」


それでも切なげに問われれば、嫌だということはとうていできなくて。

久しぶりだから、もっとたくさん話をして、なんていう私の目論見は、いとも簡単に崩される。


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