この恋、国家機密なんですか!?
「それでも、危険は0とは言えない。俺が公安にいる限り、逆恨みされて狙われる可能性は、これからもある」
「……」
「それでも……いいか?」
宗一郎さんらしからぬ、不安な声。
私は迷わずうなずいた。
「はい」
「俺は、詩織を忘れるつもりはない。彼女を守れなかったことは、一生俺の中に悔いとして残っていくだろう。それも……許してくれるか?」
まるで、結婚式の誓いの言葉。
私はまた、「はい」と短く返す。
「俺はこんな性格だし、夫や父親には絶対向いていない。それでも、いいか?」
……ん?
夫や、父親?
意味が分からなくて聞き返そうと思った私に、彼は質問をかぶせてくる。
「……それでもお前がいいって言うなら、一度してみようか?」
「えと……してみるって、何を?」
とうとう体の向きをくるりと変え、彼を見つめる。
すると宗一郎さんは、真っ黒な瞳で私を見つめ返し、真剣な顔で言ったんだ。
「……結婚に、決まってるだろ」