この恋、国家機密なんですか!?


「燃えあがーれー燃えあがーれー」


寒さを振り払おうと、厳重に巻いたマフラーの中で、昔のアニソンを口ずさむ。


────こつ。


「ん?」


物音がした気がして、振り返る。

しかしそこには、街灯もない暗い道があるだけ。


「……ノラ猫?」


まあいいや、と前を向きなおして歩き出す。
すると……。


──こつ、こつ……。


やはり、足音がする。

ぴたりと振り返り、後ろを向く。

通り過ぎた自動販売機の明かりを頼りに、あたりを見渡すけど、やっぱり誰もいない。


「気のせいだったのかな……」


くるりと向きを変え、数歩歩くと、また……。


──こつ、こつ、こつ……。


私が止まる。


──ぴたり。


足音も止まる。


こ、これって……。

尾行されてるぅぅぅ~!?


やばいやばい、最近強盗が流行ってるって、テレビで言ってた。

早く帰らなきゃ!

私はスマホを取り出し、話しながら走る。


「うん、もうすぐつくよ。お父さん、お風呂入った?」


あたかも、一人暮らしじゃないふりをして。

だけど足音はあきらめず、まだついてくる。

指先がかたかたと震えだした。

ひいいい、何なのこの状況!
怖すぎる~~~!!

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