この恋、国家機密なんですか!?
非通知設定の電話。宗一郎さんだ。
私は震える手で、スマホをにぎりしめる。
「もしもし」
『唯?俺だ。事情を説明しろ』
間違いない。宗一郎さんの声だ。
3日連続で夜道をつけられ、さすがの私もまいっていた。
つのった不安が涙になって溶けだす。
「宗一郎さぁぁん……」
私は泣きながら、宗一郎さんに事情を説明した。
『……ということは、まだ実害はないということか』
話を聞き終えた宗一郎さんは、ほっとしたような声を出した。
「実害ないって……つけられるだけでも、私の精神的負担は大きいんだよ」
十分実害はあるよ。
殴られたり、お金を取られたりしないと警察は動いてくれないっていうけど、私の中ではじゅうぶん犯罪だ。
『ああ、すまない……わかってるんだ。唯に何かあってからじゃ、遅いな』
宗一郎さんは珍しく謝り、小さくため息をついた。
どうやら、さすがの彼も、少し動揺しているみたい。
それが伝わってきて、ちょっとだけほっとした。
「宗一郎さん、会いたい……」
心細さが、口をついて出た。
しかし。
『……俺も戻ってやりたいけど、仕事が抜けられそうにない』
返ってきたのは、とても冷たい一言だった。