この恋、国家機密なんですか!?
「大西!近所迷惑だろう!」
大西くんがごめんなさいと謝ると、高浜さんは笑顔を作って、こちらに話しかけてきた。
「ええと、篠田から連絡がいっていると思うんですが……あなたに不審者がつきまとっているということで」
高浜さんが、スーツの内ポケットから、黒い手帳を取り出した。
それは、ドラマなんかでよく見るあれだった。
「け、警察手帳……!?」
そこには『警視庁警備部警護課 警部 高浜亮司』と書かれていた。
「け、け、警察だったんですね、みなさん……」
「はい、あの時はみっともないところをお見せしました」
高浜さんが恥ずかしそうに笑う。
ちょっと歳をとったみたいだけど、やっぱりイケメンだ。
「いえいえいえいえ、みっともないどころか、まことにご立派な筋肉でいらっしゃいました」
「え……」
「ぷっ……お姉さん、面白い!さすが篠田さんの彼女だね、只者じゃないや」
そう言って笑う大西さんを、高浜さんはきっとにらんだ。
「笑っている場合じゃない。俺たちはこの人の警護を頼まれたんだ」
「へっ、警護?」
「ええと……詳しくは話すなと篠田に言われているんですが、とにかく俺たちが、篠田のいない間はあなたのそばにいます」