この恋、国家機密なんですか!?
だから私も、できるだけ部屋は綺麗にするように心がけている。
宗一郎さんと付き合い始めてから、掃除も洗濯も料理もうまくなったと思う。
メイクだって、オフの時も薄くするのが当たり前で、部屋着だって可愛いものをそろえてある。
それなのに宗一郎さんは、私が添乗員の仕事で忙しく、余裕を失った時を見計らったかのように訪問してくるんだ。
……私のアサイン表、悪用されてる!
だけど、彼に文句を言ったって、無駄なことはわかってる。
「……ありがとう。入ります」
私はうなずくと、コンビニの袋をキッチンに置き、コートを脱いだ。
狭いワンルームの壁に、私のコートと宗一郎さんのスーツが並んでかけられる。
部屋の片隅には、有名ブランドのスーツケース。
それは私のものじゃなく、宗一郎さんのものだ。
彼は仕事で出張が多いらしく、いつもここへは仕事の帰りによっているらしい。
来るときはいつも、そのスーツケースがもれなくついてくる。
だから、うちには彼の下着や服が置いてあるなんてことはない。
彼はいつも、自分で選んだものを自分で持ってきて、使用するのだ。
まるで、私の部屋に自分の痕跡を少しでも残るのが、我慢ならないと言うように。
私は少し、それが寂しい。