この恋、国家機密なんですか!?
今のって、まさか……。
「な、なんで?あっ!」
大西さんが音のした方を振り返った瞬間、ストーカーが彼の手を振り払い、逃げようとした。
「こらっ、待て!」
大西さんはナイフを蹴りつけ、遠くへ飛ばす。
武器を回収し損ねたストーカーは、一瞬迷い、出てきた角へと逃げ込もうとした。
しかし……。
なぜかゆっくりと、ストーカーは両手を上げ、後退してきた。
駆け出した大西さんがぶつかりそうになって、つんのめる。
角からストーカーを追うように出てきたのは、白く光る自動拳銃だった。
「……銃刀法違反の現行犯で、逮捕する」
聞き覚えのある、声。
ストーカーに銃をつきつけたまま現れたのは……。
「そ、宗一郎さん!?」
黒い短髪に、鋭い目線。
見覚えのある、グレーのスーツ。
それは間違いなく、宗一郎さんだった。
「確保しろ」
宗一郎さんが言うと、その背後から2人の男の人が現れた。
彼らは手錠を取り出し、ストーカーにかける。
がちゃりと、重たくて冷たい音がした。
「連れていけ。仲間の追跡は?」
「まだ連絡がありません」
「そうか。何かわかったら連絡してくれ」
宗一郎さんがそう言うと、男の人たちはストーカーを連れて、闇の中へ消えていった。